近年話題となっている糖質制限ですが、実際糖質制限食とはどのような食事なのか、具体的に何を食べればいいのか?食べる量はどれくらいなのか?と疑問に思うことはありませんか?
今回は、これから糖質制限を始める方や初心者の方に向けて、糖質制限食の基本について分かりやすくまとめました。
すでに糖質制限を行っている方にも役立つ内容になるように意識しましたので、参考になればと思います。
目次
糖質制限食とは
糖質制限というと字面も漢字ばかりですし、制限という響きはなんだか物々しくて難しいイメージを持つかもしれません。
ものすごく簡単に言うと、糖質制限とは日々の食事の糖質をコントロールすることであり、いつもよりも少し糖質量を減らしてみるというだけです。
具体的にどんなことをするのかというと、主食の量を減らして代わりにおかずの食事量を増やすというイメージです。
ポイントは減らすのは糖質量だけで毎日の食事量は減らさないということです。
こう考えると、必ずしも細かい計算をしなくてもよいので、手軽に始められそうですね。
糖質とは何か?
糖質制限食とは、文字通り糖質の量を減らした食事を摂るということですが、そもそも糖質とは何なのでしょうか。
まず、糖質とは糖分が含まれているもの、果物や甘いお菓子、ジュースなどは分かりやすいと思います。しかし実は甘くない食べものにも糖質はたくさん含まれていることが多いのです。
ご飯やパン類、麺類、根菜類など主に暖色系の野菜、大豆以外の豆類、また、おせんべいなどの甘くないスナック菓子にも糖質は多く含まれているので注意が必要です。
糖質が多い食べ物:ご飯、パン、麺類、果物、根菜類、暖色系の野菜、豆類、菓子類、清涼飲料水など
簡単に言うと、糖質とは血糖値の上下に直接かかわる物質のことを言います。
糖質を抑えた食事をすることで、血糖値の急激な変動を少なくして、肥満などの原因となる、あまり好ましくないホルモンを沢山出すのを防ぐというのが糖質制限食の基本です。
糖質制限が注目された理由
糖質制限が身体によいと言われるきっかけとなったのは、アメリカの政策だったそうです。
アメリカでは1980年代に、国をあげて肥満や病気を減らす取り組みを行いました。
それは当時、全体の食事に占める脂質の割合が70%近くあったため、この脂質の多さに注目し、食事から脂肪分やコレステロールを減らして国民を健康にしようというものでした。
しかし、30年後に統計をとったところ、肥満や糖尿病の患者数はなんと倍増していたのだそうです。
そのときのアメリカの平均的な食事に占める脂質の割合は30%ほどまでに落ちていましたが、代わりに増えたのが糖質だったそうです。
このため、肥満や病気の原因は脂質ではなく糖質にあるのではないか?という仮説が立ったのだそうです。
糖質を取り過ぎるとどうなる?
糖質はとり過ぎると肥満の原因になることは知られていますが、じつは糖質を摂り過ぎると私たちの体を焦げさせてしまう原因になることがあります。
焦げ…??
ちょっとピンとこないかもしれませんが、気になる言葉ですよね。
焦げというのは、パンやホットケーキなどを焼いたときに茶色くなる、あの焦げのことです。
こんがり焼いたパンやきつね色のホットケーキはとても美味しくて良いものです。
しかし、あれと同じ現象が実は、私たちの体の中でも起こっているのだそうです。
人間の体温は平熱で37度程度ですので、パンのように高温になることは当然ありません。
焦げは高温で熱したときに起こるものだと思っていたので、まさか自分の体内で焦げが起きているなんて…かなり衝撃的ですね。
私たちの脳の約40%や体の多くが、たんぱく質からできています。
ちなみに一説によると、こころもたんぱく質から出来ているともいわれているのだそうです。
このたんぱく質と、体内で余ってしまった糖質が結びつくと焦げができます。
この焦げが体内に蓄積していくと、脳や体の老化の原因の一つになると言われています。
なので、焦げで身体を老化させないためにも、糖質をコントロールすることが非常に重要になってくるのです。
糖質制限失敗例と成功のポイント
糖質制限を自己流で行っていると失敗してしまうことがあります。
よくある失敗例として、痩せすぎてしまったり、便秘になってしまうということがあげられます。
失敗の理由として、主食を減らした分の栄養素を補えていないことがあげられます。
糖質制限食では糖質は抑える代わりに、たんぱく質や良質な油、食物繊維をたっぷりとる必要があるのです。
糖質制限では、主食を食べないまたは食べる量を減らします。主食を減らすと身体を動かすエネルギー減が減ることになります。
なので、その不足したエネルギーを糖質以外のたんぱく質や脂質といった栄養素で補う必要があるのです。
エネルギーが不足してしまうとやせすぎてしまったり、健康を害する危険がでてきます。
主食を減らすとどれくらいのエネルギーを補わなければならないのでしょうか。主食の平均的なカロリーを見てみましょう。
●一般的な主食のカロリーと糖質量
ごはん軽め1膳(100g)
→約168カロリー/糖質約37g
ごはん1膳(150g)
→約252カロリー/糖質約55g
食パン1枚(8枚切り)
→約119カロリー/糖質約20g
食パン1枚(6枚切り)
→約158カロリー/糖質約27g
蕎麦1人分(180g)
→約238カロリー/糖質約43g
うどん1人分(200g)
→約210カロリー/糖質約42g
パスタ1人分(200g)
→約330カロリー/糖質約62g
食事から主食を減らした場合はその分のエネルギーを糖質以外の栄養素で補う必要があります。
例えば、ご飯1膳を減らした場合は、その分のエネルギーを補うためには、例えばたまごであれば、3個以上は食べないといけないことになります。
つまり、主食はカロリーが高い傾向になるので、主食を減らした場合は意識的に摂取エネルギーを増やさないと、エネルギー不足になってしまうのです。
もちろん、普段から食べ過ぎている場合は除きます。
特に、ダイエット中は食事を減らす一方になりがちです。
単に主食を抜くという方法「だけ」で安易に糖質制限を実施してしまうと、栄養不足となり、不健康にやせすぎてしまったり、便秘がちになったり、体を壊すことになり、失敗してしまうのです。
ダイエットと食べることは中々結びつかないかもしれませんが、糖質制限では特に、必要な栄養素をきちんととることが重要になってくるのです。
糖質制限中の栄養素のとり方
主食を減らした分の栄養素は、少量でもエネルギーの高い脂質や、たんぱく質を上手に取り入れてバランスの良い食事をとるようにしましょう。
たんぱく質であれば、植物性(大豆製品)と動物性(鶏肉、牛肉、豚肉や魚、たまご)をバランスよくとるようにするとよいでしょう。
植物性のみ、動物性のみではバランスがあまりよくありません。
また、同じ動物性のたんぱく質でも、肉をとったり魚をとったり、たまごにしてみたりとローテーションするようにしたほうが良いそうです。
脂質も、トランス脂肪酸や参加した油は避けて、できるだけ良質な油をとるようにしましょう。
最近では、エゴマ油や亜麻仁油なども健康に良いとして話題になっていますので、取り入れてみるのも良いと思います。
油もオリーブオイルや胡麻油などの植物性のもの、バターや肉類といった動物性のものとバランスよくとり入れましょう。
同じたんぱく質や脂質でも、魚と肉のたんぱく質では、体内に入ったときの働きが異なります。
魚は脳にとても良いとされるDHAが豊富に含まれていますし、肉やたまごのたんぱく質は、しっかりした体や血、美しい髪や肌を作るのに役立ちます。
また、様々な種類の栄養素をバランスよく摂取することで、単品でなく数種類の食材を食べることになります。
このため糖質制限食が飽きにくくなり、長続きしやすくなるというメリットもあります。
糖質制限で食べてもいい食材
基本的に糖質制限中に食べても良いとされる、低糖質な食品・食材は以下の通りです。
緑色の野菜、大豆製品(豆腐・納豆・おからなど)、
肉(鶏・豚・牛など)、魚(青魚・白身魚など)、貝類、
たまご、こんにゃく、海藻(わかめ・昆布など)、
きのこ類、ナッツ類、チーズ類、
油脂類(バター・オリーブオイルなど)
上記の食品は、低糖質でたんぱく質や脂質が多く含まれているため、これらを使用して糖質制限に適した食事メニューを組み立てればよいということになります。
糖質制限食では、カロリー制限では倦厭されがちな脂質の高い食品も食べることができます。
特にナッツ類は歯ごたえがあり、脂肪分が豊富な分、腹持ちも良いためおやつにもおすすめですよ。
ナッツは味付きや揚げてあるものではなく、できるだけ素焼きタイプのものを選ぶとよいと思います。
糖質制限中も積極的にとりたい、たんぱく質は身体をつくる材料になります。他にも、栄養素を身体の隅々にまで運ぶ重要な役割を果たします。
注意点として、たんぱく質を過剰にとり過ぎてしまうと、便秘の原因となることがあるので、食物繊維や脂質、とのバランスに注意し、水分補給も心がけるようにしましょう。
脂質も脳や体の細胞を作る材料になったり、体を動かすエネルギー源になります。
ちなみに一日に必要な食物繊維をとるための野菜の食事量は、加熱した状態でげんこつ1個分位が目安となります。
摂取カロリーに占める栄養素のバランス
通常食と糖質制限食での摂取カロリーの栄養素の比率の目安は以下となります。
パンやご飯を主食にしている場合[糖質6:脂質2:たんぱく質2]
↓
主食の代わりにおかずメインの糖質制限食[糖質約1~3:脂質約4~5:たんぱく質2~3]
何度も言うように健康的に糖質制限を行うためには栄養バランスが大事となります。必ずしも糖質を完全にオフにする必要もありません。
糖質制限とは、食事から摂取する栄養のバランスをコントロールすることです。
糖質制限は自己流で間違ったやり方やあまりにも極端なやり方をすると、健康を害する可能性もありますので、自己流ではなく、専門家の指導を受けながら実践することをおすすめします。
糖質制限で食べる順番や回数は?
食べる順番
食事の際は、食べる順番でも糖質の吸収速度が異なります。先に食物繊維から食べることで、体内に糖質が吸収されるのをゆっくりにすることができます。
これにより、血糖値の急上昇を抑えることができるため、肥満の原因となるインスリンの分泌量を少なくすることができます。
よく噛んで、味わいながら食べることも血糖値のコントロールには大事です。
食べる回数
糖質制限においては、食べる回数は無理に増やしたり減らしたりする必要はないと言われています。
ただ、栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質ですが、空腹時に糖質の高い食事を摂ると糖質の吸収が普段よりも良くなるので、血糖値も急激に上がりやすくなってしまいます。この点には注意しましょう。
まとめ
糖質制限食の基本は、ご飯やパンなどの主食を減らして、その代わりに主菜や副菜といったおかずの食事量を増やして、糖質の摂取量をコントロールする食事です。
糖質制限食でたくさん食べてもいいものは、緑色の野菜、肉類、魚介類、きのこ、大豆製品、チーズ、ナッツなどの食材です。
逆に少なくしたい食材は、米、パン、麺類、果物、暖色系の野菜、菓子類、清涼飲料水などです。
糖質制限食では、食事から糖質を減らす代わりに、たんぱく質や脂質、食物繊維を含む食材の食事量を増やすようにします。
糖質を減らすだけだと、栄養不足になってしまう可能性があるので注意しましょう。
また、糖質制限の効果を出すためにも栄養バランスは重要になります。
たんぱく質や脂質は一つの食材の実ではなく、様々な食材からまんべんなくとるようにすることでも効果が得られやすくなりますし、健康にも美容にもいいことがたくさんあります。
糖質制限は、自己流で無理をすると危険なこともあります。専門家の指導を受けるなどして正しいやり方で行うようにしましょう。
いかがでしたか。あなたの糖質制限のお役に立てれば幸いです。ではまた!